「東御廻り(あがりうまーい)」は、沖縄の豊かな歴史と文化を象徴する巡礼の旅です。この行事は、昔、二ライカナイから南の島へ訪れた創造神アマミキヨの伝説から着想を得ています。アマミキヨはグスクを建設し、稲作を始め、島の文明を築き上げました。時間が経過すると、彼女は祖霊神として御嶽で尊崇され、沖縄の国家安泰や五穀豊穣の象徴として敬われるようになりました。
アマミキヨと「東御回り」の関連性は、この巡礼がアマミキヨの精神と教えを反映している点にあります。彼女が創り上げた文化と自然との調和の価値観は、「東御回り」の旅を通じて体現されます。巡礼者は、アマミキヨが歩んだとされる霊地を訪れることで、彼女の精神を追体験し、沖縄の自然と祖先に対する敬愛を深めます。
この巡礼は、太陽が昇る東方、神秘の地二ライカナイへと続く聖なる方角への旅で、アマミキヨが渡来したとされる霊地を訪れます。 首里から始まり、与那原、佐敷、知念、玉城など東四間切の地域に点在する聖地を結びます。 もともと国王の祈りの旅として始まったこの伝統は、やがて王族、士族、そして島の人々にも広まりました。
聞得大君は、この巡礼において重要な役割を果たしました。 彼女は国の祭祀を統括し、斎場御嶽での「御新下り」儀式を通じて巡礼を指導しました。 国王による巡礼は後に廃止されましたが、聞得大君による巡礼は続き、琉球の精神文化を支える重要な要素として残りました。
現代の「東御回り」は、園比屋武御嶽を出発点とし、御殿山、親川、場天御嶽、佐敷グスク、テダ御川、斎場御嶽、知念グスク、知念大川、受水・走水、ヤハラヅカサ、浜川御嶽、ミントングスク、玉城城址を含む14の聖地を巡るものです。
これらの場所は、それぞれ独自の歴史と神秘を保ち、琉球の文化を現代に伝えます。この巡礼は、ただの観光を超えて、沖縄の歴史と文化への深い理解、自然と祖先への尊敬を育む旅となっており、健康と癒やしを求める多くの人々に愛されています。
関連スポットリスト
1. 園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)
一 東御廻りの旅が始まる際、最初に訪れるのが園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)です。この神聖な場所は、古代から国家行事や祭祀と深く結びついており、琉球王国の国王や聞得大君(きこえおおきみ)が旅の安全を祈願し、出発する場所として知られています。
2. 御殿山(うどぅんやま)
一 与那原町にある御殿山は、天女が降り立ったといわれる伝説の地です。琉球国由来記によれば、ここには「アマオレツカサ」という神が祀られており、天女が天から舞い降りた場所と記されています。
3. 親川(うぇーがー)
一 親川は、天地開闢の昔、御殿山に舞い降りた天女が、子どもを出産する際に、この湧井の水を産湯に使ったとの神話が伝えられています。
4. 場天御嶽
一 場天御嶽は、琉球王国を統一した尚巴志の祖父、佐銘川大主が伊平屋島から移り住んだ神聖な拝所であり、東御廻りの一つです。
5. 佐敷上グスク(佐敷城跡)
一 佐敷グスクは、沖縄本島南東部に位置する南城市佐敷にあり、琉球を統一した尚巴志の父である尚思紹が、島添大里グスクを攻略する前に築いたグスクです。標高20m〜50mの丘陵地に位置し、中城湾や勝連半島を一望できる絶景のスポットです。
6. テダ御川(てだうっかー)
一 沖縄本島南部・南城市知念の海岸に位置する聖地「テダ御川」は、琉球王朝時代からの歴史を感じる特別な場所です。かつては琉球国王が久高島に渡る際、この地で湧き水を飲み、休息をとったそうです。また、ノロたちは航海の安全を祈願した神聖な場所です。
7. 斎場御嶽(せーふぁうたき)
一 斎場御嶽(せーふぁうたき)は、琉球開びゃく七御嶽のひとつで、東御廻り(あがりうまーい)の巡礼の中で最高の聖地として重要な役割を果たします。斎場御嶽はこの儀式の中で巡礼者が訪れる聖地の一つで、特に聞得大君(きこえおおきみ)の就任式である「御新下り(おあらうり)」の儀式がここで行われます。
8. 知念城址
一 知念城址は、沖縄最古の歌集『おもろさうし』にも謡われた知念按司の居城として知られています。
9. 知念大川(ちねんうっかー)
一 知念大川は知念城跡の西側にある泉です。後方にある「ウファカル」は、南城市玉城の「受水走水」と並び、沖縄での稲作発祥の地とされています。琉球民族の祖先といわれるアマミキヨが天から稲を持ち帰り、この地に初めて植えたという伝説が残されています。
10. 受水・走水
一 沖縄南城市玉城字百名の海岸近く、浜川御嶽の南西方に位置する二つの泉、受水(ウキンジュ)と走水(ハインジュ)は、自然の美しさと歴史的な魅力が融合した特別な場所です。受水は、穏やかに流れる水を意味し、走水は勢いよく流れる水を意味しています。
11. ヤハラヅカサ
一 ヤハラヅカサは、東御廻りの11番目に訪れる聖地であり、碧い海に佇む神秘的な存在です。琉球を開いた神、アマミキヨが海の彼方、ニライカナイから上陸した際にその足跡が刻まれた場所で、潮の満ち引きに合わせて姿を変える標柱が静かにそびえています。満潮時には海中に没し、干潮時になるとその全体が現れます。
12. 浜川御嶽
一 浜川御嶽は、琉球開闢神アマミキヨが仮住まいをした場所として伝えられています。琉球の歴史と信仰に深く根ざしたこの場所は、琉球の創世伝説を物語る重要な拝所です。
13. ミントングスク
一 ミントングスクは、琉球開闢神アマミキヨが住み着いた場所として伝えられています。ニライカナイの聖地から渡ってきたアマミキヨは、この地で子孫を繁栄させたといわれており、沖縄の重要な拝所です。
14. 玉城城跡
一 東御廻りの最後を飾る場所、玉城城跡は、琉球の神話に彩られたアマミキヨによって築かれた琉球七御嶽の一つで、通称「タマグスクグスク」とも呼ばれています。