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沖縄陸軍病院南風原壕群 | 太平洋戦争の足跡と平和への祈り

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【沖縄陸軍病院南風原壕群の概要】

沖縄陸軍病院南風原壕群は、沖縄戦中に沖縄陸軍病院が使った壕群で、南風原町の黄金森一帯に約30基の豪が造られました。壕内では軍医や看護婦、ひめゆり学徒たちが多数の負傷兵の治療にあたりましたが、物資不足と地上戦の激化により十分な治療を行うことができず、多くの命が失われました。戦後、1990年に全国で初めて第二次世界大戦の戦争遺跡として南風原町の文化財として指定され、2007年から20号壕が一般公開されています。壕内の空気感や構造は、戦争の過酷さを今に伝える貴重な生き証人です。

沖縄陸軍病院南風原壕群_1

【全国初の文化財指定】

沖縄陸軍病院南風原壕群は、1990年に南風原町によって「文化財(町指定史跡)」に指定されました。これは全国で初めて、戦争に関わる遺構が公的に文化財として認定された例であり、「戦争の記憶を歴史遺産として残す」という日本国内の新たな試みの先駆けとなりました。かつて命を救うための医療活動が行われ、多くの命が失われたこの壕群は、単なる遺構ではなく、戦争の現実や平和の大切さを伝える教育・追悼の場としても評価され、現在まで保存・公開が続けられています。この文化財指定は、全国各地の戦争遺跡の保存運動に影響を与えました。

沖縄陸軍病院南風原壕群_3

【戦争の現場を今に伝える人工の壕】

南風原壕群は、地形を活かして人力で造られた人工の壕です。内部は高さ・幅ともにおよそ1.8mで、人が立って歩ける広さが確保されています。中でも20号壕は第二外科壕群の中心的な壕とされ、手術室や勤務者室、負傷兵の病室などが設けられていました。湿度が高く光も届かない壕内は、当時の閉塞感や過酷な環境を今に伝えており、見学者は歩きながら戦争の現実を肌で感じることができます。再現ではなく、実際の空間だからこその臨場感があります。

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【ひめゆり学徒が支えた命と、失われた未来】

南風原壕群は、動員された「ひめゆり学徒隊」が実際に看護活動を行っていた場所でもあります。彼女たちは沖縄県立第一高等女学校や沖縄師範学校女子部の生徒で、主に15~19歳という年齢で壕内に入り、重傷を負った兵士たちの手当てや衛生作業に従事していました。南風原の20号壕では、命の危険にさらされながらも懸命に支え続けた日々があり、見学者はその現場を自らの目で確かめることができます。

沖縄陸軍病院南風原壕群_7

【においで感じる戦争の記憶】

南風原壕群の見学では、当時の壕内の空気感や「におい」をリアルに体感できる点が特徴です。壕の中は狭く、暗くなっており、当時そこにいた人々が感じていた重苦しい空気がそのまま残っています。さらに当時の壕内のにおいを再現した「再現臭気」が用意されており、衛生環境が劣悪だった状況を嗅覚で追体験することができます。においという感覚は記憶に強く残るため、戦争の現実を五感で感じる貴重な機会になります。展示や映像では伝わりづらい「過酷な環境の中で生きた人々の体験」を、より深く理解するための学びとしておすすめです。

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【命を繋いだ道、銃火に消えた想い】

壕群が広がる黄金森は、現在は緑に包まれた静かな森ですが、かつては米軍の熾烈な攻撃を受けた場所でした。中でも「飯上げの道」と呼ばれる小道は、ひめゆり学徒や衛生兵などが各豪へ食料を運ぶために使った命の道でした。中には、飯上げの途中で命を落とした病院関係者もいました。現在では整備された遊歩道として歩くことができ、穏やかな自然の中で、かつての恐怖と苦しみ、命を支え合った人々の営みに静かに想いを馳せることができます。

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【遺されたものが語る戦争、焼けた痕と命の記憶】

南風原壕群からは、医療器具や食器、ボタン、時計、クシなど、豪内にいた人たちの生活と看護の痕跡が数多く発見されています。豪内には焼けた壁面もあり、壕内で火災が起きたことがうかがえます。これらの遺物や痕跡は、戦火の中で生きようとした人々の存在を静かに語りかけ、命の重みと戦争の過酷さを今に伝えています。南風原文化センターでは当時の医療品や病院壕内部の様子を再現して展示しており、当時の病院壕をより深く知ることができます。

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【平和への願いを胸に、慰霊の鐘が響く】

20号壕の入口近くには「鎮魂と平和の鐘」が設けられており、黄金森で命を落とした傷病兵たちを追悼するために、訪れた人が静かに鐘を鳴らします。その澄んだ音は、戦争の記憶と平和への願いを空へと響かせます。南風原文化センターの近くには、「悲風の丘」の碑や、戦後陸軍病院関係者が慰霊のために建立した歌碑などもあり、沖縄戦の悲劇と平和の尊さを今に伝えています。これらのモニュメントは、訪れる人に深い想いと静かな祈りの時間を促してくれます。

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【アクセス情報】

【車】 那覇空港から約30分 那覇市中心部からは約20分 【バス】 那覇バスターミナルから沖縄バス40番または309番に乗車、「福祉センター入口」下車、徒歩約15分。

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