7. 中城城跡 | 沖縄の世界遺産を巡る旅
中城城(なかぐすくじょう)は石灰岩丘陵に広がり、南東には切り立った断崖、北西には勾配の傾斜面が広がります。そのため、城内へは東北と南西の丘陵尾根沿いに限られ、守りやすく攻めにくい地に築かれています。城は6つの郭から成り、自然の岩石と地形的条件を巧みに生かした美しい曲線の琉球石灰岩城壁が特徴です。
中城城は標高約160メートルの丘陵上にあり、天然の要塞の上に築かれています。当時貿易港であった屋宜港から2キロメートルほど離れており、城壁の上からは西に東シナ海、東に中城湾(太平洋)が見渡せる美しい眺望が広がっています。
城の創始は明らかになっていませんが、先中城按司によって築かれ、1440年には護佐丸盛春によって増築されたとされています。護佐丸は1458年に王府軍に攻められ自害し、その後は「中城王子の居城」から「番所」へと変遷しました。また、薩摩藩支配時代には中国冊封使節団の来琉時に役人が隠れる場所として使用されたとの伝承も残っています。
1853年にマシュー・ペリー提督が訪れ、城の建築技術に驚嘆しました。戦後も沖縄戦の被害が少なかったため、中城城は多くの文化財が消滅した中でグスクの石積みが良好に残った城だと言われています。戦後に補修が行われ、1955年には重要文化財に指定されました。
2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界遺産に登録され、その後も補修・復元工事が進められています。沖縄のグスク跡の中で標高が一番高いため、眺望の地として知られる中城城は、沖縄の歴史と文化を象徴する存在として重要視されています。