沖縄は「芸能の宝庫」と呼ばれるほど、様々な伝統芸能が根付いています。 その中でも大きく「民俗芸能」と「宮廷芸能」の二つに分けることができます。民俗芸能には「エイサー」や「島唄(民謡)」があります。 宮廷芸能には琉球王国時代に首里王府が中国皇帝の使者・冊封使(さっぽうし)の歓待儀式で演じた「御冠船踊(おかんせんおどり)」や「組踊(くみおどり)」などがあります。 今回は、その中でも人気のある組踊で代表的な演目、二童敵討(にどうてきうち、ニドーティチウチ)についての物語を紹介します。
天下取りの野望に燃える勝連城(かつれんじょう)主の按司(アジ)[城主]、阿麻和利が登場します。彼は首里王府(しゅりおうふ)に偽りを言い、邪魔な中城城主・護佐丸を攻め滅ぼしました。その冷酷な行動には、彼の野心が強く表れています。護佐丸が倒れると同時に、彼の子供たちも阿麻和利の手によって命を落としました。その後、阿麻和利は首里王府への進攻を計画し、その勝利を祈りながら酒宴を開くなど、戦いへの執念が描かれています。
しかし、阿麻和利が殺したと思われていた護佐丸の遺児、鶴松と亀千代の兄弟[二童]は生きていました。彼らは落城の際に敵の目を逃れ、母のもとで成長しました。復讐の機会を窺いながら、阿麻和利の野遊びを知り、仇討ちに向かう覚悟を決めます。ここで物語は緊迫感と期待感を帯び、新たな展開へと進んでいきます。
阿麻和利一行が酒盛りを楽しんでいる中、踊り子に変装した鶴松と亀千代が登場します。阿麻和利は2人に踊りを披露させ、その腕前に喜びを見せます。褒美として、大団扇や太刀、羽織などを与える阿麻和利。しかし、その油断を突き、2人は丸腰の阿麻和利に立ち向かい、父の仇を討つことに成功します。この展開は劇的であり、復讐の果てに正義が勝利するという物語となっています。
国立劇場沖縄で行われる「天下取りの舞台」では、仮面の踊り子に変装した二童が阿麻和利と対峙する場面が迫力満点に演じられます。 二童の阿麻和利への感情を揺さぶる踊りや、彼によって褒美として与えられた大団扇や太刀、最終的に丸腰になった阿麻和利に立ち向かう瞬間は感動的で観客を圧倒します。 国立劇場沖縄で、この感動のストーリーをぜひご体験ください。
関連スポットリスト

1. 勝連城
一 沖縄本島の中部、勝連半島の根元に広がる丘陵上にそびえる、歴史と美が共存する勝連城跡。 琉球王国の重要な拠点として築かれたこの城跡は、その美しい城壁と圧倒的な景観で観光客を魅了します。 2000年にはユネスコの世界遺産に登録され、沖縄の歴史に触れることができる貴重な場所となっています。

2. 中城城
一 中城城跡は、沖縄県中頭郡中城村と北中城村にまたがる標高150m~170mの石灰岩丘陵上に位置し、世界遺産の「琉球王国時代のグスク及び関連遺産群」に指定され、国指定史跡および「日本100名城」にも選ばれています。城は美しい曲線で構成された琉球石灰岩の城壁からなり、戦略的に守りやすく攻めにくい地に築かれました。

3. 護佐丸歴史資料図書館
一 中城村護佐丸歴史資料図書館は、2016年5月に新しく会館した施設で約12万冊の収蔵能力を備えています。 施設名の通り、沖縄の歴史でも名の知れた武士・護佐丸が築城した中城城跡について学べる歴史資料館となっており、 中城城跡の歴史展示室や建築の特徴等を学ぶことが出来ます。 他にも琉球史を学べる郷土資料や児童コーナー等があります。

4. 沖縄国立劇場
一 沖縄国立劇場は、2004年1月18日に沖縄県浦添市に開場した劇場です。 沖縄伝統芸能の保存振興を主な目的としており、全国で5番目に開場した国立劇場となっております。 劇場は沖縄の歴史や文化を体現する建築物として注目され、公演や研修などを通じて地域の芸能文化の発展に寄与しています。